バレーボールと私について

今は夏の土曜日の夜。今日はいつもの熱帯夜ではなくて、激しい雨上がりの涼しい夜を迎えている。こういう夜は、静かに自分と向き合えるから好きだ。

今日は、私の趣味の一つであるバレーボールについて書こうと思う。40代も後半になるのに、自分だってそれほどうまい訳ではないけれど、ネットで見つけたサークルに入り、下は現役の中学生から、上は30代中盤くらいまでのメンバーとほぼ毎週、バレーボールを楽しんでいる。

バレーボールは私にとって無くてはならないもので、自分自身の存在理由のようなものだ。この歳になって、そう感じる。

本当に辛いとき、メンタルがピンチの時、今まで手放していたものでも再び手に入れたいと思うことがある。それが私にとってはバレーボールだった。

 

2年ほど前に離婚協議が大詰めを迎え、10年以上続けてきた結婚生活の破綻が確定的となったとき、私は結婚指輪の処分を覚悟した。売却は、離婚を決意したから、だけではなかった。指輪の売却益で、バレーボールを始めようと思ったからだ。売却益は2万円と少しになったと記憶している。このお金で、バレーボールのシューズとボールを購入し、インターネットにあるチームへ参加し、活動を開始した。

いざ始めてみると、没頭した。運動中はいろんなことに悩まなくて済む。いろんな後悔も恨みも不安も悲しみもすべて忘れることができる。飛び入りで参加したとはいえ、同じスポーツで仲間と活動ができることの楽しさを心底感じていた。運動していると精神的に自由になり、ストレスから解放されていた。

 

自分にとって、なぜバレーボールが自身の一部なのかを振り返ってみようと思う。
バレーボールは、私にとって逃避とリベンジの歴史そのものだった。

 

中学時代、バレー部に入部したが、なかなか上達せず次第に練習をさぼるようになっていった。いつも活動していた仲の良かった友達も次第に部活を欠席がちになり、毎日練習する同学年の仲間との差は広がってしまう一方だった。次第に自分は、バレーがうまくなる同学年の仲間を、うらやましい目で、羨望の目で見てしまうようになっていた。自分だって努力すれば追いつける、自分だってうまくなれるんだ、という気持ちが消え、うらやましい気持ちだけが日々重なってしまうような、悶々としたグレー色の毎日を過ごしていた。バレーがうまくならない。部活に出にくい。同年の仲間はうまくなっていってうらやましい。そして自分は部活をやめた。自分自身の向上心が消え、うらやましさに敗北した中学時代だった。そして部活の大会があるたびに、同学年のバレー部のレギュラーの仲間をうらやましく思った。きらきらと輝いて見えた。その一方で、自分自身の灰色で濁った自分を情けなく思っていた。

高校生になった自分は、もう一度バレーボールをやり直し、グレー色の自己像を取り戻そうと決意した。うらやましさと諦めで満ちてしまった自己評価を塗り替えようと思ったからだ。もちろん部活はバレー部に入った。そしてあまり詳しくは書かないけれど、それなりに自分自身はうまくなり、部活の仲間たちから推薦され部長までやり遂げ、リベンジはできたんだ。

だから、高校生になった自分が、中学生にできてしまったよからぬ自画像を塗り替えたという軌跡が、私にとってのバレーボールだった。

 

きっと、離婚騒動が持ち上がってから、このあたりの記憶が自分にとってのアイデンティティであり、自分自身を保ち続けられる、数少ない要素の一つだったのだろうと思う。

 

やはり離婚となるとメンタルへのダメージは計り知れなくて、今までやってきた音楽活動は全くできない期間が半年から1年くらいは続いた。けれどもメンタルがボロボロであっても自分のよりどころとなるのがフィジカルな運動であり、それは私にとってのバレーボールであった。筋トレも水泳もいろいろやってみたけれど、やっぱりバレーボールに行きついて、今では一番心地いいと感じている。

中学・高校と色々あったけれども、こうして今の自分を形作ることができたバレーボールには感謝している。そして、今でも活躍の場を与えてくれ、10代から30代前半のメンバーばかりの状況でも40代後半の私も受け入れてくれる社会人サークルにも本当に感謝しています。(’ありがとうSさん!)もっとうまくなりたい、もっといいサーブを打ちたい、スパイクをもっと鋭く打ちたい、という気持ちが収まらず、ここ1年は筋トレを始め、離婚騒動のときよりも10キロは瘦せ、あきらかに体型がメタボなおっさんからスポーツやってそうな感じに変わってきました。自分の写真を見ていいなあと思えるのは、本当に幸せなことです。

 

40代後半で運動技能の向上なんて難しいのかな、って思うこともあることはあったけれど、意外とそうでもないようです。ここ1年でスパイクの感覚を取り戻しつつあり、高校生の頃ほどではないけれど、普通にスパイクを打ち込めるようになってきました。調子がいいとアタックラインにスパイクを打ち込めます。試合でもスパイクで得点することができるようになってきました。それに、高校の頃できなかったジャンプサーブも練習を積んでみたところ、今では半分くらいの確率で成功するようになりました。(Vリーグの試合でいとも簡単にジャンプサーブしているのを見て、じゃあ自分も、という軽いノリです。40代でもできるんですよ!)練習試合でも、ジャンプサーブが決まることも出てきました。もちろんVリーガーのような時速100キロみたいなサーブは打てないけれど、普通にレシーブ失敗させるようなジャンプサーブが打てている。ここでもちょっとだけ、自分が好きになれます。

 

ということで、長々と書きましたけれど、けがをしない範囲で、引き続きバレーボールを楽しんでいこうと思います。

 

実は今年の正月に、私は目標をたてました。
今年中に、高校生の頃の自分くらい、攻撃力のあるスパイクを打てるバレーボーラーになろう、です。形にはなってきたので、もうすぐ目標達成できるかな?
とはいえいい歳なので、体をいたわりながら、楽しんでバレーを続けていこうと思います。

 

今回も読んでいただいてありがとうございました。