とある練習試合の日。いつものように、試合会場の隅っこで部活メンバーのお母さんたちと雑談していた。お父さんが来ているのは、総勢10名くらいいる保護者の中で、私を入れて一人か二人。本来ならアウェーな環境だけれど、話をしたいという想い?からか、積極的にお母さんたちの輪に入って会話をすることが全く苦ではない。
今日もまた練習試合中にいつもの会話をしていたのだけれど、今日の会話は違った。
いつものように、同い年の息子のお母さんと3人で話していたのだが、ある程度話が進むと、どうしたって家族構成の話になる。
ここはもう、隠していてもしょうがないと思って、告白してしまった。
実は父子家庭なんです、〇年前から離婚して、料理も洗濯も掃除も皿洗いも学校の用意も全部、ひとりで頑張っているんです。だからこうやっていつも応援に来るのは、わが家はお父さんしか来れないから、なんです。って、さらっと言ったけれど、なんだかあまり驚いた表情をしていなくて、すーっと受け入れてくれたような雰囲気だったからこっちが拍子抜けしてしまった。
もちろん質問が集中する。なんで親権お父さんがとったの?なんでお母さんが親権とらないの? すべてに丁寧に回答をし続けた。 やはり、お母さんたちの一般的な感覚とは違っているみたい。でも、自分はそれでいいんです、覚悟を決めましたから、って。頑張ってるね、って同情してくれた。もうここで涙腺が緩みかけけてたけれど、練習試合の最中、じっとこらえた。
話はここから急展開だった。
話し相手をしていたお母さんたちが、私もひとり親のようなものだ、って、家庭事情を告白してくれたのだ。夫とうまくいっていないこと、別居状態が続いていること、子どもたちにもストレスを与えてしまっていること、もちろん母親自身も悩み、子どものことを気にし、どうして今の相手を選んでしまったのだろうとの自分を責める気持ち。
あれ?辛いのは俺だけじゃないの?? あれ?みんな苦労しているの??
もう、ここから息子たちの練習試合の記憶が全くない。
この瞬間から、ひとり親について、子どもたちへの影響について、家庭での悩みについて、今までの雑談水準を遥かに超えてしまうくらい踏み込んだ話をした。この間、俺ひとりでずっと悩みを抱え込んで、会社からの帰りだったり週末にお酒を飲んだ夜にひとり涙を流していたりしているけれど、乾いたスポンジが水を勢い良く吸収するように、この会話は俺の心にすーーと入り込んでいき、私のココロを潤してくれた。
求めよ、さらば与えられん。
どっかできいたことわざだ。
期待すれば、応えてくれる。悩んでいるのは私だけじゃない。
そしてみんな、理解しあえること、分かってもらえることを望んでいるんだ。
俺はひとりじゃない。
今日は一瞬でも、気持ちが通じ合えた実感を持てた日だった。
いい一日だった。
今日もありがとう。